意外ともらえる!生活保護の支給金額は1ヶ月いくらになるか計算してみた

生活保護の支給金額は1ヶ月いくらになる?

最後の命綱ともいえる「生活保護制度」。

政府によると、2017年度の生活保護受給世帯が164万811世帯と過去最高を更新しています。

年々、受給者が増加しており、生活保護を頼りに暮らしている生活困窮者が多いことがわかります。

病気や障害などで本当にお金に困って、生活保護を利用したときに、1ヶ月に1人当たりいくらの金額がもらえるのでしょうか。

ポイント女

今回は、生活保護の1ヶ月あたりの支給金額と計算方法について紹介しています。

生活保護の支給金額は1ヶ月いくらになるか計算してみた

役所の画像

生活保護の支給金額は、都内と地方で大きく異なります。

厚生労働省で紹介されている支給金額の事例は、次のとおりです。

生活保護支給額の例(平成28年度)

  • 3人世帯(33歳、29歳、4歳)東京都内160,110円
  • 3人世帯(33歳、29歳、4歳)郊外160,110円
  • 高齢者単身世帯(68歳)東京都内80,870円
  • 高齢者単身世帯(68歳)郊外65,560円
  • 母子世帯(30歳、4歳、2歳)東京都内189,870円
  • 母子世帯(30歳、4歳、2歳)郊外159,900円

※児童養育加算、母子加算、冬季加算を含む

物価水準の違いに合わせて、6種類の等級(ランク)に分けて支給金額が決定されます。

障害者や子どものいる世帯に対して、児童養育費加算や母子加算など、対象となる世帯では生活保護が増額されます。

対象となる世帯ごとに加算額を調査した結果は、以下のとおりです。

対象世帯 加算額
妊娠6ヶ月未満の被保護者がいる場合 8,960円
妊娠6ヶ月以上の被保護者がいる場合 13,530円
出産後6ヶ月以内の被保護者がいる場合 8,320円
ひとり親世帯(父子家庭も可) 子供1人あたり21,400円
児童を養育している被保護者がいる場合 18歳までの子供1人あたり10,000円
3歳未満の子供1人あたり13,300円
障害の診断を受けた被保護者がいる場合 障害等級1〜2級の場合26,310円
障害等級3級の場合17,530円
在宅で療養している被保護者がいる場合 13,020円
介護施設に入所している被保護者がいる場合 9,690円
介護保険第1号被保険者である被保護者がいる場合 実費
冬季加算地域区分に居住している被保護者世帯 2,800円〜22,080円

では、あらゆるパターンで生活保護を申請したら一体いくらもらえるのか、下記の地域を対象に試算してみました。

  • 東京都(八王子市)
  • 大阪府(大阪市)
  • 北海道(札幌市)

単身・夫婦・母子家庭・4人家族などの世帯別でみると、もらえる金額が大きく異なることがわかります。

単身世帯の場合

単身世帯

年齢 居住地域別の生活保護費
東京都 大阪府 札幌市
20〜40歳 132,930円 119,230円 111,840円
41歳〜59歳 133,860円 120,160円 112,720円
60〜69歳 133,490円 119,790円 112,370円
70歳以上 128,330円 114,630円 107,430円

平成29年2月の厚生労働省の調査によると、生活保護受給者の全体のうち、高齢者世帯の単身が51%にものぼり、年々増加し続けています。

支給される金額を年齢別でみると、最高金額が41歳〜59歳で、最低金額が70歳以上であることがわかります。

歳を重ねるにつれて、生活保護の支給額が削られてしまうようです。

夫婦世帯の場合

夫婦世帯

夫婦ともに、同じ年齢の41歳〜59歳までと仮定した場合、試算結果は次のとおりです。

居住地域 生活保護費(夫+妻)
東京都(八王子市) 183,850円(1人あたり91,925円)
大阪府(大阪市・堺市) 167,850円(1人あたり83,925円)
北海道(札幌市) 157,710円(1人あたり78,855円)

単身とくらべると、夫婦世帯は一人当たりの支給金額がぐっと少なくなります。

東京都の場合、単身世帯では133,860円が支給されるのに対して、夫婦世帯の一人当たりは91,925円で大幅に減少しています。

受給金額は少なくなりますが、夫婦で一緒に暮らしていると家賃や光熱費などが半分になるため、生活をするのに十分なお金が手に入ります。

母子家庭世帯(親1人・子1人)の場合

母子家庭世帯

母(20歳〜40歳まで)の場合、子どもの年齢でもらえる金額が大きく異なります。

年齢 居住地域別の生活保護費
東京都 大阪府 札幌市
母+子(0〜2歳) 209,580円 193,580円 183,970円
母+子(3〜5歳) 207,510円 191,510円 181,770円
母+子(小学生) 211,420円 195,420円 185,520円
母+子(中学生) 217,570円 201,570円 191,160円
母+子(高校生) 207,570円 191,570円 181,160円
母+子(高校卒業〜19歳) 184,780円 168,780円 158,370円

※母子加算を含んでいます。

子どもの年齢が上がるにつれて、シングルマザー世帯の支給金額が大きくなっていきます。

ただ、自立に近づく高校卒業から19歳に差しかかると、支給される金額がぐっと減少していきます。

これまで生活保護制度は、子どもは高校卒業と同時に働くことが通例になっていました。

しかし2018年、新たに大学進学を支援する法律が盛り込まれ、進学に必要な金額が支給されるようになっています。

生活保護受給者の子どもが、大学進学を諦める必要はなくなりつつあるのが現状です。

4人家族世帯(父・母1人ずつ・子2人)の場合

4人家族世帯

父・母(20歳〜40歳まで)で、子ども2人ともに小学生の場合は、次のとおりです。

対象地域 生活保護費(父+母+子2人)
東京都(八王子市) 271,700円
大阪府(大阪市・堺市) 253,900円
北海道(札幌市) 239,730円

※児童養育加算を含む。

子どもがいる世帯に対して、児童養育加算がされます。

児童養育加算は、年齢と人数で分かれています。

3歳〜小学校卒業までは15,000円(3歳以上の第1子・第2子は10,000円)、中学卒業までは10,000円になります。

18歳や19歳は含まれず、加算対象から外れます。

母子加算とくらべて児童養育加算は金額が少なく、子どもの人数で金額が変わってくるので、加算額の算出が複雑です。

生活保護の1ヶ月あたりの計算方法について

生活保護の支給金額は、住んでいる地域や家族構成に応じて大きく異なっていきます。

保護費の計算式は、次のとおりです。

生活保護の計算方法のイメージ画像

1ヶ月あたりの生活費 = (生活扶助基準 第一類×逓減率)+生活扶助基準 第二類 +加算額

1ヶ月あたりの支給額 = 生活費 + アパート代等

例:単身61歳(2級地-1)、所得なし

(33,800円×1.0000)+40,670円+加算額なし=74,470円

74,470円 + アパート代等 約50,000円=124,470円

この場合、毎月124,470円が支給されます。

はじめに言っておきますが、生活保護費の計算はかなり複雑になっています。

役所のケースワーカーでさえミスがあるほどなので、知識のない人が正確な金額を割り出すのは至難の技です。

ざっくり計算したうえで、生活保護費を支給できそうなら近くの役所に相談して、正確な金額を算出してもらうのがいいでしょう。

まずは居住地の等級を調べる

まずは、居住地域の等級を確認して、その後に家族構成から支給金額を算出していきましょう。

等級は、住んでいる市町村別に全部で6つに分かれています。

地価水準で等級が決まっており、たとえば東京の八王子市は「1級地-1」の最高ランクになります。

等級 対象地域
1級地-1 東京23区・名古屋市・大阪市・堺市・吹田市・高槻市・豊中市・京都市・神戸市・尼崎市・川口市・さいたま市など
1級地-2 札幌市・仙台市・所沢市・戸田市・浦安市・横須賀市・平塚市・大津市・明石市・千葉市・福岡市・岡山市・広島市・北九州市など
2級地-1 函館市・旭川市・青森市・盛岡市・秋田市・山形市・福岡市・水戸市・新潟市・金沢市・富士見市・入間市・春日部市など
2級地-2 夕張市・長岡市・日立市・長岡市・小松市・土岐市・北名古屋市・大垣市・瀬戸市・松坂市・桑名市・東海市・佐世保市など
3級地-1 北見市・稚内市・富良野市・石巻市・米沢市・つくば市・栃木市・大島市・伊勢崎市・御殿場市・鈴鹿市・西尾市・半田市など
3級地-2 結城市・篠山市・宇和島市など(1級地〜3級地-1に含まれない地域※下記参照

等級を調べる際は、下記を参考にしてください。

居住地域の等級を調べる

最低生活費を算出する

住んでいる地域の等級を確認したうえで、最低生活費を算出していきます。

①生活扶助基準(第一類)
年齢 1級地-1 1級地-2 2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2
0〜2 21,510 20,540 19,570 18,600 17,640 16,670
3〜5 27,110 25,890 24,680 23,450 22,240 21,010
6〜11 35,060 33,480 31,900 30,320 28,750 27,170
12〜19 43,300 41,360 39,400 37,460 35,510 33,560
20〜40 41,440 39,580 37,710 35,840 33,980 32,120
41〜59 39,290 37,520 35,750 33,990 32,220 30,450
60〜69 37,150 35,480 33,800 32,140 30,460 28,790
70〜 33,280 32,020 30,280 29,120 27,290 26,250

※基準額1

    

上記の基準額に、下記の逓減率を乗じていきます。「(①×②)」
②逓減率
等級 単身 2人 3人 4人 5人
1級地-1 1.0000 1.0000 1.0000 0.9500 0.9000
1級地-2 1.0000 1.0000 1.0000 0.9500 0.9000
2級地-1 1.0000 1.0000 1.0000 0.9500 0.9000
2級地-2 1.0000 1.0000 1.0000 0.9500 0.9000
3級地-1 1.0000 1.0000 1.0000 0.9500 0.9000
3級地-2 1.0000 1.0000 1.0000 0.9500 0.9000

算出した金額に、下記の生活扶助基準(第2類)を足していきます。「(①×②)+③」

③生活扶助基準(第2類)
等級 単身 2人 3人 4人 5人
1級地-1 44,690 49,460 54,840 56,760 57,210
1級地-2 42,680 47,240 52,370 54,210 54,660
2級地-1 40,670 45,010 49,900 51,660 52,070
2級地-2 38,660 42,790 47,440 49,090 49,510
3級地-1 36,640 40,560 44,970 46,540 46,910
3級地-2 34,640 38,330 42,500 43,990 44,360

※基準額1

最後に、加算額を足すと生活費が算出できます。「(①×②)+③+④=生活費」
④加算額
等級 障害者 母子世帯
1・2級 3級 1人 2人 3人以上 中学生・3歳未満
1級地 26,310 17,530 22,790 24,590 1人につき920 一人につき15,000
2級地 24,470 16,310 21,200 22,890 1人につき850
3級地 22,630 15,090 19,620 21,200 1人につき780

※18歳・19歳は加算額の対象になりません。

                     

上記の「生活費」と「住宅費(アパート代)・教育費等」を合わせた金額が、最低生活額になります。

受給開始時期について

生活保護は、申請日から14日以内に「可否」の決定通知をすることが義務付けられています。

資産状況を把握するのに時間がかかる場合は、最長30日になります。

生活保護の開始時期

申請日から14日内で支給できるかどうかが決定されて、その後に生活保護が開始されるのが一般的です。

生活保護が開始されるまでに手持ちの生活費がない場合は、「臨時特例つなぎ資金貸付」を利用してお金を工面することも可能です。

生活保護費の種類

支給される生活費の種類は、下記のとおりです。

生活を営む上で生じる費用 対応する扶助の種類 支給内容
日常生活に必要な費用
(食費・被服費・光熱水費等)
生活扶助 基準額は①食費等の個人的費用(年齢別に算定)
②光熱水費等の世帯共通的費用(世帯人員別に算定)を合算して算出。
特定の世帯には加算があります。(母子加算等)
アパート等の家賃 住宅扶助 定められた範囲内で実費を支給
義務教育を受けるために必要な学用品費 教育扶助 定められた基準額を支給
医療サービスの費用 医療扶助 費用は直接医療機関へ支払(本人負担なし)
介護サービスの費用 介護扶助 費用は直接介護事業者へ支払(本人負担なし)
出産費用 出産扶助 定められた範囲内で実費を支給
就労に必要な技能の修得等にかかる費用 生業扶助 定められた範囲内で実費を支給
葬祭費用 葬祭扶助 定められた範囲内で実費を支給

基本的には、生活費にプラスして住宅扶助(アパート代)が支給されます。これが、いわゆる生活保護費です。

必要に応じて出産費用、葬祭費用などが臨時で支給されるようになっています。

出産や急病などでまとまったお金が必要になった時は、その金額分をまるっと全額支給してもらえます。

出産費用や医療扶助などを受けるには、ある一定の条件を満さなくてはいけないため注意が必要です。

たとえば住宅扶助には各市町村で上限が決まっており、その金額を超過した分は支給されません。

医療扶助を受けたい場合は、指定医療機関を利用するなど。

やや制限はありますが、条件さえ守れば支給されるようになっています。

保護費は年々減額されている実情がある

前述で生活保護の種類や金額について解説してきましたが、毎年十分な金額をもらえるわけではないということを覚えておきましょう。

消費税が上がる一方で、生活保護費の基準は2018年より段階的に下げられているからです。

毎月の受給額が少しずつ減ってしまうため、生活が安定しないと感じている人が多い実情があります。

実際に当サイトが生活保護を受けている人を対象にアンケート調査をおこなったところ、43.2%の人が生活保護費の引き下げによって生活が安定しないと答えました。

生活保護を受給しても生活が安定しない原因

一人暮らしや都市に居住している人が減額の対象になりやすいため、打撃を受ける家庭は多いようです。

次いで減額された金額については、以下のような結果となりました。

生活保護を減額された金額については、月額1〜5,000円と答えた人が半数以上でした。

一度に大幅な減額をされる訳ではないものの最終的に受け取る金額には大きな差が出てしまうため、生活保護の他にも資金調達する方法を検討しておく必要があります。

給料や年金があっても生活保護費がもらえるのをご存知ですか?

働いて給料をもらっていても、生活保護費が支給されるケースがあります。

生活保護と聞くと、「働いていなくてお金に困っている人がもらえる」というイメージがあると思います。

しかし実際には、国が定めた最低生活費を下回っていれば支給される可能性があります。

最低生活費から給料所得や年金を引いて、社会保険料や税金などは所得扱いにはならないため合計額を足していきます。

生活保護受給後、いくらまで働いても大丈夫?

収入から最低生活費を引いた差額が、保護費として支給されます。

働いている場合の生活保護の支給額

生活保護費 = 最低生活費 − 世帯全体の収入

就労にかかった経費(交通費・社会保険料など)は所得扱いにならず、数えられません。

生活保護の支給額が14万円だった場合、たとえば働いて6万円の収入を得たら、その差額分である8万円が支給されることになります。

経費を除いて考えると、働いても働かなくても結果的に手元に入るお金は同じになるといえます。

年金と生活保護はダブルでもらえる?

高齢者世帯は、年金受給が65歳以上から開始されます。

結論からいいますと、生活保護と年金をダブルで受給することも可能です。

しかし給与所得と同じで、生活保護を年金の受給金額が上回ると支払いがストップするようになっています。

年金を受給しても、その差額分があれば生活保護の支給が継続されます。

当たり前かもしれませんが、生活保護は最低限の生活が送れる資金しか支給されません。

たまには気分転換に旅行など、そういった息抜きに使えるお金は支給されないのが現実です。

最低限の生活が送れること、最低限の生活しか送れないことが、メリットでもありデメリットでもあるように思います。

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